みなさんこんにちは!あおなです。
突然ですが、みなさんはビリー・ビーンという人物をご存知ですか?ビリー氏はメジャーリーグ・オークランドアスレティックスのGMとして、メジャーで初めてセイバーメトリクスを活用した球団経営を行い、少ない資金で強いチームを作り上げました。
そんなビリー氏の球団経営をノンフィクションで描いた話題作『マネー・ボール[完全版]』(著者:マイケル・ルイス)を今更ながら読んでみました。
この記事ではマネー・ボールを読んだ感想と共に、彼がどんな人物でどのように球団経営を行っていったのかお伝えしていきます。
マネー・ボール:あらすじ
この物語の主人公、ビリー・ビーンは、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴの中流家庭に生まれました。ビリーは高い身体能力を持ち、高校時代は数々のスポーツで誰にも負けたことがありません。
若いころのビリー・ビーンは、何をやっても人に負けなかった。誰を相手にどんなスポーツをしても、おのずと勝ってしまう。まるでひとりだけ別世界にいるようだった。高校二年のときに早くも、学校のフットボールチームでクォーターバックを務め、バスケットボールチームでも得点王に輝いた。肉体はまだ成長途中なのに才能があふれだし、まだ掌が小さくて片手でボールをつかめないうちからダンクシュートを決めることができた。
引用:マイケル・ルイス著, 中山宥訳 『マネー・ボール[完全版]』 ハヤカワ文庫
そんなビリーですが、数あるスポーツの中でも特に野球の才能にあふれていました。投げても打っても守っても超一流のビリーは高校時代からMLBスカウトの目に留まり、高校卒業後、名門・スタンフォード大学への入学を蹴ってニューヨーク・メッツへ鳴り物入りで入団します。
素晴らしい野球の才能を持つビリーは、一緒にプレーしたチームメートの多くが「今まで見た中で一番能力が優れた選手」と口をそろえるほどでした。しかし、感情の起伏が激しくバッターボックスで自分をコントロールできないビリーは、ミネソタ・ツインズ、デトロイト・タイガース、オークランド・アスレチックスとチームを渡り歩きますが、その天才的な野球センスを生かすことができないまま引退を決断します。
引退後、ほどなくしてビーンはオークランド・アスレチックスのフロント入りし、その後GM(ゼネレラルマネージャー)となります。当時のアスレチックスはオーナーが変わり、資金力に乏しい貧乏球団となっていました。
GMになったビリーは従来の『スカウトの目』に頼った選手獲得方法を一新、セイバーメトリクスの観点を重視したドラフト、トレード戦略を実施。他球団が目もくれないような選手を発掘し契約金を安く抑えて獲得することで、弱小貧乏球団であったアスレチックスを常勝軍団へと成長させていきます。
この物語には、そんなビリー・ビーンの人物像や、ドラフトとトレードによる選手獲得の裏側、従来の選手評価とセイバーメトリクスによる選手評価の違い、ビーンの手法を徹底的に批判する人々について描かれています。
マネー・ボール:ビリー・ビーンってどんな人?
ビリー・ビーンは現役時代、類まれなる身体能力と野球の才能を持った選手でした。誰よりも遠くへ飛ばし、投げ、速く走れることができました。さらに、イケメンで話術にも長けていたため、恋愛もお手の物です。しかし、プロ入りするまで挫折をしらなかったビーンは挫折との向き合い方がわからなかったのです。
じつはビリーが唯一対処できないのが、挫折という壁だった。高いレベルのルーキーリーグで最初の短いシーズンを終えたとき、データシートに記された「打率.210」という数字をどう理解すればいいのか、ビリーには皆目わからなかった。成功する自分しかいままで知らなかったから、対策が思い浮かばない。
引用:マイケル・ルイス著, 中山宥訳 『マネー・ボール[完全版]』 ハヤカワ文庫
ビリーはバッティングに関して、とにかくむらのおおい選手でした。そして、打ち損ねると感情をむき出しにするなど、感情の起伏が激しい人物でした。ビーンの現役時代にはこんなエピソードがあります。
数えきれないほどバットを折り、数えきれないほど壁に穴を開けた。ベンチ裏のトイレを壊したこともある。タコマで行われた3Aの試合では、観客席にいたひとりのファンを追い回した。
引用:マイケル・ルイス著, 中山宥訳 『マネー・ボール[完全版]』 ハヤカワ文庫
これはビーンがGMになってからも変わらず、監督が自分の思うように采配しなかったり、ドラフトがうまくいかないときには感情をあらわにする場面が多く描かれています。そんな性格が災いし、選手引退後には妻と離婚することになりました。
その一方で、もともと頭がきれ話術に長けているビリーは、選手をその気にさせてよい結果につなげたり、ドラフトやトレードの際には他球団のGMと駆け引きし自球団にとってうまくことが運ぶように仕向けるなど『策士』と呼べる一面をもっています。
また、メジャーリーグでは『古き伝統に習え』という習慣が根強く、なにか新しいことをするときには大きなバッシングを受けます。これは日本球界にも同じことが言えますよね。ビリーは猛烈なバッシングをうけながらも新たな選手獲得及びチーム経営戦略を行い、見事に弱小貧乏球団を強豪へと育て上げました。このことから、ビリーは素晴らしいチャレンジャーであると言えます。
マネー・ボール:感想
本書を読んでまず感じたのは、どんなに才能があっても精神的な強さが伴わなければよい成績を収めることができないということです。これは野球などスポーツだけでなく、他の仕事にも同じことが言えますよね。
ビーンは素晴らしい才能を持ちながらも自分自身をコントロールすることができず、プレーヤーとしては良い成績を収めることができませんでした。私もどちらかというと感情を表に出してしまう人間ですので、感情をコントロールできるようになる必要性を強く感じました。今後、アンガーマネージメントなど、感情をコントロールする方法について勉強していきたいと思います。
また、本書ではセイバーメトリクスという理論的な側面と、ビーンの感情という情緒的な側面という相反する事柄が同時に描かれているという点が印象的でした。感情的な側面が影響して挫折を経験したビリーが、理論的な側面から選手を獲得していくという部分が非常に興味深い一冊でした。
今更だけどマネー・ボールを読んでみた。まとめ
『マネー・ボール[完全版]』はセイバーメトリクスを選手獲得に初めて用いたビリー・ビーンの現役時代と、GMとして弱小貧乏球団を常勝球団に育てあげた手法についてノンフィクションで描かれています。
セイバーメトリクスについて興味がある方にはぜひおすすめしたい一冊です。また現在野球をしている選手にも、ビリーを反面教師として自身のプレーに生かせるような一冊となっています。
さらに、この記事では多くを書くことができませんでしたが、本書ではメジャーリーグにおけるドラフトやトレードの裏側ではどのようなやり取りがされているのかが詳細に描かれています。ニュースでは報道されないコアなやり取りを知ることができるため、球団運営の裏側について興味を持たれている方はぜひ本書を読んでみてください!
以上、あおなによるマネー・ボールのあらすじと感想でした。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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