みなさんこんにちは!あおなです。
今回は、プロ野球選手の総合的な能力をあらわすセイバーメトリクス指標である『WAR』について解説していきます!
例えばプロ野球選手のAとBの能力をデータを用いて比較しようとすると、「打撃はA選手のほうがいいけど守備はB選手のほうがいいし、でも守備位置が違うからUZRじゃ判定できないし…」となってしまい結論を出すことが難しいですよね。
そんな悩みを解決してくれるのが総合的な能力指標であるWARなんです!WARは走攻守すべての成績を合わせた結果(ピッチャーは投のみ)、その選手がどの程度チームの勝利に貢献したかをあらわしています。さらに、すべてのポジション間での比較が可能な指標なんです。便利ですよね!
この記事では、そんなWARについて2018年の結果を交えながら徹底解説していきます!
WARの意味は?その選手が控え選手よりもどれくらい勝利を増やしたか
WAR(Wins Above Replacement:一般的にウォーと呼ばれます)は、選手の走・攻・守・投の成績を総合的に評価し、最小限の役割をこなす(チームを勝利に導かないし負けに導きもしない)控え選手と比べてどの程度チームの勝利数を増やしたかをあらわす指標です。
WARは選手の能力を総合的に評価し、控え選手よりもどれだけチームを勝利に導いたかをあらわす指標
例えば、WARが1.0の選手は1年間通してチームを1勝させる活躍をしたという解釈になり、WAR0.0の選手は最小限の役割しかこなさない控え選手と同等の成績であったということになります。
WARの特徴
WARには他のセイバーメトリクス指標と異なった特徴が2つあります。以下にそれを解説していきます。
WARの特徴①:すべてのポジション間で比較できる!
従来、データから選手を評価し比較しようとすると、同じ野手同士でもOPSやUZRなど複数の指標で比べながら自分なりに総合的に判断するしかありませんでしたよね。まして、投手と野手を比較するなんて難しいどころの話ではありませんでした。
しかし、WARはチームの勝利に対する貢献度を評価している指標なので、野手同士だけでなく投手と野手もWARをつかって比較できるんです!とても便利な指標ですよね!
WARの特徴②:年俸の基準となり得る
今まで、選手の年俸を決める際には様々な成績を考慮して額を決めなければなりませんでした。そのため、この選手の年俸はほんとうに適正なのかどうか、素人には全くわかりませんでしたよね。
選手の年俸は成績で決まるわけですが、この成績は平たく言うと「チームの勝利にどれだけ貢献したか」と言い換えれますよね。そう、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この年俸を決めるための成績=WARと言えるのです!(もちろん、選手のキャラクターや人気など成績以外の面も年俸に影響するのですが、一番は成績ですよね。)
そのため、WARは年俸を決める際の材料としてすでにメジャーの球団では使われだしています。
WARの計算方法と基準
WARの計算方法は走・攻・守・投のすべてを網羅するだけあってとても複雑です。また、計算方法には機関によって少し違いがありますが、ここではDELTA社が提供しているWARの計算方法にそって解説していきます。以下に細かく解説していきますが、かなりマニアックな内容となっていますので「そこまで細かくなくていいよ!」って方は飛ばしてくださいね。
WARの計算方法①:打撃(Batting)の評価
WARでは打撃の評価指標としてwRAA(weighted Runs Above Average)を補正したものが用いられます。wRAAは1打席あたりにどのくらいチームの得点を増加させたかをあらわすwOBAを使って計算されます。計算式は以下の通りです。
※PF補正値 =(本拠地球場での打席数÷総打席数)×(本拠地試合での両軍合わせたwOBA - それ以外での両軍合わせたwOBA)
参考:1.02 ESSENCE of BASEBALL 『WAR (Win Above Replacement)【野手】』
WARの計算方法②:守備(Defense)の評価
WARの守備の評価にはUZRが用いられます。ただし、捕手は盗塁阻止や捕逸、暴投、エラーによって得点された異なる指標を用います。
また、UZRはポジションの影響を受けるため、守備位置によって補正を行います。補正値は以下の通りです。
守備位置 | 補正値 |
捕手 | +18.1 |
一塁手 | -11.0 |
二塁手 | +6.9 |
三塁手 | -4.4 |
遊撃手 | +4.8 |
左翼手 | -8.9 |
中堅手 | -1.0 |
右翼手 | -4.4 |
DH | -12.0 |
以上の補正値によりUZRを補正したものがDefenseとなります。
参考:1.02 ESSENCE of BASEBALL 『WAR (Win Above Replacement)【野手】』
WARの計算方法③:走塁(Base Running)の評価
WARにおける走塁の評価には盗塁に関わる評価指標であるwSBと、盗塁以外の走塁の評価指標であるUBRを足したものが用いられます。
参考:1.02 ESSENCE of BASEBALL 『WAR (Win Above Replacement)【野手】』
WARの計算方法④:投球の評価
WARにおける投球の評価は、アメリカではFIPやDRSという指標が用いられていますが、DELTA社ではtRA(true run average)という与四死球・奪三振・被打球による投手評価が用いられています。
参考:1.02 ESSENCE of BASEBALL 『WAR (Win Above Replacement)【投手】』
WARの計算方法⑤:最終的なWARの値
最終的なWARの値は投手と野手別々の計算方法によって用いられます。その際、両者ともにRPW(Runs Per Win)という指標が用いられます。RPWは勝利を一つ増やすのに対応する得点数をあらわす指標です。RPWの計算方法は以下の通りです。
参考:1.02 ESSENCE of BASEBALL 『Runs Per Win』
投手のWAR
投手のWARを計算する際、先発投手と中継ぎ投手では投げるイニング数が異なるため、先発したときと中継ぎで登板したときを別々に計算します。それらを足したものをRPWで割った値が投手のWARとなります。各計算式は以下の通りです。
〇中継ぎRAR=(1.34 × リーグ平均tRA - tRA - PF補正値)÷ 9 ×(守備から独立したアウト数 ÷ 3)
※PF補正値 = (本拠地球場での対戦打席数÷総対戦打席数)×(本拠地試合での両軍合わせたtRA- それ以外での両軍合わせたtRA)
参考:1.02 ESSENCE of BASEBALL 『WAR (Win Above Replacement)【投手】』
野手のWAR
野手のWARの計算は前述の指標を組み合わせて行います。計算式は以下の通りです。
※Replacement =(リーグ平均wOBA - 0.88 × リーグ平均wOBA)÷ wOBAscale × 対象選手の打席数
参考:1.02 ESSENCE of BASEBALL 『WAR (Win Above Replacement)【野手】』
WARの評価基準
WARの評価基準は以下の通りになっています。なお、この評価基準はアメリカで用いられているfWARを用いた際のものです。日本では必ずしもこの通りとならないことがありますので、あくまで目安としてご覧ください。
評価 | fWAR |
MVP | 6.0~ |
スーパースター | 5.0~6.0 |
オールスター | 4.0~5.0 |
好選手 | 3.0~4.0 |
レギュラー | 2.0~3.0 |
先発メンバー | 1.0~2.0 |
控え | 0~1.0 |
リプレイスメント | ~0 |
2018年シーズンWARランキング野手TOP10
それでは、日本の2018年シーズンWARランキング野手TOP10を見ていきましょう!データはすべてDELTA社が提供しているものです。
順位 | 選手名 | 球団 | WAR |
1 | 柳田悠岐 | H | 8.8 |
2 | 山田哲人 | Ys | 8.6 |
3 | 菅野智之 | G | 7.6 |
4 | 丸佳浩 | C | 7.0 |
5 | 浅村栄斗 | L | 6.5 |
5 | 坂本勇人 | G | 6.5 |
7 | 平田良介 | D | 6.2 |
7 | 秋山翔吾 | L | 6.2 |
9 | 源田壮亮 | L | 6.0 |
10 | 山川穂高 | L | 5.7 |
※H:ソフトバンクホークス、Ys:ヤクルトスワローズ、G:読売ジャイアンツ、C:広島カープ、L:西武ライオンズ、D:中日ドラゴンズ
まず、ソフトバンクホークス・柳田悠岐選手とヤクルトスワローズ・山田哲人選手が突出していますね!さすがはトリプルスリー記録保持者です。
また、ピッチャーでは読売ジャイアンツ・菅野智之選手が3位と唯一のランクイン!ピッチャーの中では断トツのWARを誇っており、沢村賞投手はだてじゃない!といったところでしょうか。
チーム別にみると、西武ライオンズが4人ランクインしています!しかも1番バッターから4番バッターの4人です!『山賊打線』と呼ばれるほどえげつない打線でしたが、その結果がWARにもあらわれていますね。
WARは選手の総合的な能力をあらわすセイバーメトリクス指標!まとめ
ここまで、セイバーメトリクス指標のひとつであるWARについて解説してきました。まとめると、WARは計算方法がとても複雑ですが、選手を総合的に評価でき、かつ全ポジションの選手を比較できる優れた指標です!
プロ野球選手を総合的に評価する際には、WARをぜひ使ってみてくださいね!
以上、あおなによるWARの解説でした!最後までお読みいただきありがとうございました。

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